連載 ケースレポート
地域医療構想と民間病院・4
社会医療法人社団陽正会 寺岡記念病院—コモンズ創設の試みとスローメディシンの実践
松田 晋哉
1
1産業医科大学公衆衛生学教室
pp.295-300
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210080
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■病院の概要
寺岡記念病院は広島県福山市にある社会医療法人社団陽正会の中核施設で,一般病床211床(急性期病床94床,回復期リハビリテーション病床34床,地域包括ケア病床53床,障害者施設等病床30床),療養病床52床の計263床からなるケアミックス病院である.診療科目は内科・外科・脳神経外科・整形外科・泌尿器科・リハビリテーション科・リウマチ科・形成外科・循環器内科・神経内科と幅広く,地域の医療を総合的に支えている.医療圏は福山・府中二次医療圏,地区医師会としては府中地区医師会に所属し,同医師会圏域(府中市,福山市北部)の急性期医療,特に救急医療を一手に支えている.また,関連組織としては社会福祉法人新市福祉会がある1).
同法人は近年,地域の安心づくりに力を入れており,寺岡暉理事長のもと種々の社会活動を展開している.大変柔軟な組織運営を行っており,中山間地域で活動する他の民間病院の参考になる事例であると考える.
本稿では過疎化が進む中山間地域で「スローメディシン」という医療概念に基づき,ローカルコモンズの設立など新しい社会実験に積極的に取り組んでいる陽正会の活動について紹介したい.
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