医療を囲む声 病院の視力・聴力・感性
病気とつき合う
奈須 輝美
1
Terumi NASU
1
1日本赤十字社医療センターボランティアなすグループ
pp.1057
発行日 1989年10月1日
Published Date 1989/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209710
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突然の発病
私は子供の時から健康に過ごし,3人の健康な子供にも恵まれ,育児,家事に明け暮れ,健康で働けることに感謝する日々を送っていた.けれども,私が33歳,子供が2歳,5歳,8歳になった時,喀痰を伴う咳が出始め,微熱があり全身がだるいという症状が続いた.「かぜが長引いているのでは」と思ったが,症状が強くなってきたので,近くの懇意にしている医院で,血沈の測定と肺のレントゲン写真を撮ってもらった.血沈は1時間90,肺には広範囲に影があることがわかり,直ちに日赤医療センターの呼吸器内科を紹介された.検査を受けながら抗生物質の投与を続けたが,症状は進み,入院となった.入院中,ステロイドホルモン剤の投与により,めきめき症状はよくなり,3週間ほどで退院できた.けれどもステロイドの服用を止めて1か月後に,また同じ症状が現れ,再びステロイドを服用し,徐々に減らして維持量をしばらく服用していた.PIE症候群(pulmonary infiltration with eosinophilia)という病名がつき,気管支炎,リウマチ性アキレス腱症炎,紫斑病,多発性関節炎,気管支喘息等の症状が次々と現れた.発病当初から8年間に,1か月前後の入院を5回したが,幸い昭和53年から63年までは入院せずに小康を保っていた.
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