特集 地域医療計画と病院
資料
北海道医師会における医療圏設定の手順と考え方
大内 東
1,2
,
宮腰 昭男
1,3
,
小野 修
1,4
,
長沢 邦雄
1,5
,
飯塚 弘志
1,6,7
Azuma OHUCHI
1,2
,
Akio MIYAKOSHI
1,3
,
Osamu ONO
1,4
,
Kunio NAGASAWA
1,5
,
Hiroshi IIZUKA
1,6,7
1北海道医師会医政研究委員会
2北海道大学工学部情報工学科
3札幌大学経営学部
4医療法人小野病院
5長沢産婦人科医院
6北海道医師会
7飯塚耳鼻咽喉科医院
pp.333-335
発行日 1988年4月1日
Published Date 1988/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209275
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地域医療計画における医療圏の設定は,ただ単に必要病床数の算定という目的のみを持つものではない.特に北海道は医療環境の地域格差が大きく,医療圏は地域住民の生活の場に密着した形での医療資源の充実と整備という目的を持たなければならない.北海道においては,昭和55年より保健医療圏を設定し,医療環境の整備を行っているが未だ不十分である.本稿では,医療提供の第一線の現場において活躍する医療従事者の立場で,真に地域社会に立脚した医療システムの構築とはどのような考え方を持たなければならないかについて言及する(ここでの解説の大半は北海道医師会医政研究委員会小委員会において検討されたものである).
地域医療システムを構築するうえで,医療活動を行う場としての医療圏を設定することが重要である.従来の圏域は政策的側面が強調され,医療サービスの現状を無視した状況で設定される傾向があった.我々の医療圏設定の基本的考え方は,既存の医療資源を有効に,かつ,効果的に利用することを前提としている.既存の医療資源に関して,ただ単にその物理的大きさのみを測定するのではなく,それが稼働している状況を把握しなければならない.この状況を客観的に反映しているのは,患者の受療行動である.患者の行動は,医療,経済,地理,社会的諸要因を反映した結果的なものとして把握でき,それは医療圏設定のための基本的情報であると考える.
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