グラフ
転換期を迎えたじん肺専門病院—栃木県・珪肺労災病院
pp.185-190
発行日 1987年3月1日
Published Date 1987/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209013
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「"よろけ"と言われ,"病めばたおれる"と諦めと貧困のなかで世を去った多くの兄弟達……」珪肺法成立記念の一節にこのように謳われている,肺の中に粉塵が蓄積する鉱山労働者あるいは採石労働者の職業病として,多くの男たちの生命を奪っていったじん肺(珪肺はじん肺の一種).今回,じん肺のわが国唯一の専門病院である珪肺労災病院を訪ねるに当たって,このじん肺も昭和58年を境に患者数が減少していると聞いて,この病院もその役目を終わりつつあるのかとの感慨を抱いた.そして今なお治ることのない,そして経過の長いじん肺という慢性疾患に取り組む病院は,時代に取り残された結核療養所のように閑散としているのかと想像せざるを得なかった.
しかし,じん肺の減少を背景にしつつも,開設後30年余を経て狭隘化した木造モルタルの建物を鉄筋地下1階地上6階建に新築したばかりの病院が,どのような装いをしているのか,一つの関心事であった.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.