特集 患者に選ばれる病院
医療機関に利用者は何を求めているか
篠崎 次男
1
Tsuguo SHINOZAKI
1
1日本生活協同組合連合会医療部会事務局
pp.204-208
発行日 1986年3月1日
Published Date 1986/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208787
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
患者の声を集める必要性
医療をめぐる社会環境の激変の中で,地域社会や患者から「積極的に選択される医療機関」づくりは,きわめて大切な課題となっている.利用者の「要望」を無視した医療機関は成り立たなくなってきているということであろう.しかし,地域や患者の「要望」をどのようにとらえるかとなると,正直なところ全くの手さぐりの状況である.そこで重視されているのが「地域診断」といわれるものだろう.しかし,これとて直接的に「要望」を把握することは難しい.その地域の住民の年齢や世帯構成,交通などの地理的条件,同一診療圏内の他の医療機関の状況などから,どのような内容が求められているかを「予想」して,それに合わせた医療機関づくりをしていこうというものであろう.医療機関の性格上,スーパーの品ぞろえを検討するような,安直な方法での対応はできない.ましてやその地域で一定の歴史と実績をもつ医療機関にとって,地域の人口構成や都市計画などの変化に合わせて病院を作り変え,それに合わせていくことは非常に難しい.
また一部で強調され実施に移されている「医療内容に特色ある医療機関づくり」も医師を中心とした"人"と地の利がかみ合わないとなかなかうまくいかない.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.