病院職員の基礎知識 病院合理化の基本的考え方と技法
職務行動計量化の考え方
村山 三郎
1
Saburo MURAYAMA
1
1林眼科病院
pp.690
発行日 1985年8月1日
Published Date 1985/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208654
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前回,病院の合理化とは,より良い医療の提供と,経営の安定,成長,収益性の確保のために最も効率良く仕事を進める科学的方法であり,科学的方法とは,できるだけデータを細分化するとともに,職務行動との結びつきのメカニズムを解明し,これを直結させること,と述べましたが,今回はこれを更に具体的に考えてみたいと思います.
経営の安定,成長,収益性の確保にはいろいろな条件があり,多角的に検討し,対処しなければなりませんが,最も基本的には,収入と経費と投資の三点に焦点が絞られることは言うまでもありません.そして病院の経費は,高固定費,低変動費型ですから,何よりも患者数の増加が絶対の条件となります.また,良い医療の提供も,結局は患者の共感を得られるものでなければならないことは前述のとおりです.したがって,職員の職務行動の改善を含む医療内容のどのような変化によって,診療圏がどのように変化し,そして診療圏内の受診率にどのような変化が起こるのかを解明しなければなりません.ここで問題なのは,職務内容の変化に対して,データとしてとらえられる形で患者数の変動があれば,職務行動との因果関係も明らかになり,合理化の方向も把握でき,職員の改善に対する意欲も湧いて来ることになるでしょうが,患者数は他のいろいろな要因によって変動し,そしてその動きはなかなか把握できないわずかな動きにしか過ぎません.
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