新しい医療と厚生行政
病院経営の経済学的視点
厚生行政研究会
pp.682-683
発行日 1985年8月1日
Published Date 1985/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208650
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本年4月1日をもって日本専売公社が日本たばこ産業(株)に変身したが,その際に示された本年度の年間売上げ目標は,たばこ(国内消費分)3,061億本,塩(一般用)134万トンであった.わが国の喫煙者人口は約4,500万人であるので,この数字は,喫煙者1人1日当たり約19本を喫っていただくことを意味しており,塩についても国民1人1日当たり約31gを消費していただくことを意味している.毎日1箱のたばこを喫い,30gの塩を食することがいかなる健康被害を招くものであるかを考えると背筋が寒くなるのだが,幸い(?)にしてそのようなことを慮る閑人は少ない.多忙に身を任せている間は,ものごとをマクロに考えることはなかなかできないものである.しかし,自分の置かれている状況を正しく認識するためには,時には大局的にものごとを分析することも必要であろう.
医療の世界においても,国民医療費抑制の大きな流れのなかで,個々の医療機関・医療人が無意識のうちに乗せられている方舟の運命をしかと見つめることが必要であり,またそれなくしては方舟の乗組員の間での生存競争に生き残ることも難しいであろう.
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