人
土の臭い,海の香りがする院長国保日高総合病院院長 古田 浩二氏
田端 敏秀
1
1和歌山県立医人附属病院耳鼻咽喉科
pp.464
発行日 1985年6月1日
Published Date 1985/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208595
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古田浩二君は私と和歌山県立医大29年卒の同期である.大学時代から現在まで,その性格は変わることなく素朴で温厚,そしてまたロマンチストでもある.最近とみに貫録がついた.それは,24年間を日高病院一筋に地域医療に捧げられた年輪のせいであろう.彼には土の臭いがする.海の香りがする.地域に根ざした医療とは,こんな人柄の中で芽生え,育つものである.
海岸線に沿って南に長く延びる和歌山県の中央部紀中の中核病院として,名実ともに地域住民から高く評価され,年々充実されていく病院の姿を見るとき,同期生として,このうえもなくうれしくまた誇りでもある.卒業25周年誌"不朽"に彼は「滅私奉公の精神のはてが院長就任である.診療科が増加すればするほど比例して悩みも増える.肉体的には,内科のみを考えれば良いが,精神的には他科に比重を重く,そこに頭の軽業が必要となり白髪が増えるということになる」と記している.日高病院が,全診療科を設置し,かつバランスのとれた医療体系を保っているのも,彼のこのような哲学によるものであろう.
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