在宅ケアへの模索
訪問看護の有効性—2.がん末期患者の場合—日本看護協会訪問看護検討プロジェクト報告
季羽 倭文子
1
Shizuko KIBA
1
1(社)日本看護協会
pp.620-624
発行日 1984年7月1日
Published Date 1984/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208362
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病院からの,あるいは病院と連携して行う訪問看護は,医療依存度の高い状態の患者の在宅生活を維持するうえで,有効に機能する.しかし,それがどのような患者の状態に対して,どう効果を発揮するか,さほど明確に説明されてきているとは言えないように思う.そこで前回に引き続き,日本看護協会訪問看護検討プロジェクトで,訪問看護の実践活動に基づき,その有効性について検討してきたことを紹介したい.今回はがん末期患者の訪問看護について述べたいと思う.
自宅療養を続けているがん末期患者は,本人が望み,また家族もそれに同意して最後まで家にい続けようと思っても,それが無理になるような症状が出現する場合が少なくない.高齢者の脳卒中の場合のように,末期のプロセスが苦痛少なく,緩やかに経過するなら,条件が整えば,在宅で死を迎えることはさほど困難ではない.しかし,がん末期では,例えば疼痛のコントロールについて訪問看護婦がかかわっていても,在宅ではコントロールが無理になることがある.幸いにして,あまりひどい症状が出現しないで経過したり,症状への対応がうまくいき,また介護家族側の種々の条件が整っていて,最後まで在宅でき,自宅で死を看とることができれば,それはとても大変なことを,みんなで成し遂げられた,という気持ちになる.それは決して不可能でもないし,稀なことでもない.しかしそのためには,訪問看護による支えは,欠かせないものである.
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