人
第23回全国自治体病院学会会長 愛媛県立中央病院院長 江里口健次郎氏
徳永 昭夫
1
1徳永外科医院
pp.380
発行日 1984年5月1日
Published Date 1984/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208296
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江里口先生は,葉隠で有名な佐賀の人で,正義感が強く自己に厳しいクリスチャンである.高校を台北で過されているので淡水と号され,悠々と自然を愛する温い一面も持っておられる.昭和16年九州帝国大学第一外科ご入局後,軍医として北鮮,次いで決戦場比島へ赴かれた.危険な最前線に派遣されたのに,司令部のほうが爆砕されて,奇蹟の生還をされたと聞いている.この事が先生の死生観を変えられたのであろうか,日々のご様子の中に,ひたむきな真剣さが感じとられるのである.
私が先生に師事したのはインターン研修の時で,外科の初歩から始まり,人生のあり方についても教えていただいたと思う.あのころ重症者の手術直後,血まみれの手術衣姿のままご自分の血を患者に輸血されている崇高なお姿を度々拝見した.理想の医師像として今なお私の脳裏に焼きついている.古かった病院も先生を推進力として見事に近代化され,外科診療でも俊才を集められて専門診療のシステムを確立された.院外でも松山市医師会並びに県医師会理事として,開業医と勤務医の提携を進められた.それが日医の注目するところとなり,勤務医委員会のメンバーとして活躍され,昨秋は全国勤務医大会を主催された.
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