病院精神医療の展開
総合病院精神科の医療と医療経済
佐々木 時雄
1
Tokio SASAKI
1
1関東労災病院神経科
pp.142-144
発行日 1984年2月1日
Published Date 1984/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208236
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■総合病院精神科の実情
総合病院において,現行の精神衛生法に則しながら,しかも限られた制約のもとで精神医療を行うことは誠に根気の要ることである.というのは総合病院に併設されている精神神経科病棟は,精神神経科のみではなく他科と同居している,いわば混合病棟がその多くを占めているのが実情だからである.単科病棟は大学附属病院に限られているのが現状ではなかろうか.こうした事情から混合病棟に重症患者を入院させることは不可能に近く,たとえ入院することができたとしてもその患者は緊急を要し,かつ短期間の間に転院の方法を講じなければならない症状をもっている人に限られてくる.したがって総合病院における精神神経科病棟の入院患者の構成は軽症者に限られてくることになる.
ここで軽症者というのが問題になってくるのである.軽症者というと一般的な視点からするとその対応も比較的円滑に行われると想像されがちであるが実情はそうはいかない.最近,諸家の間でも話題にのぼるのがこの軽症者なのである.精神分裂病の神経症化,うつ病の神経症化,精神病患者の症状の軽症化などということが言われてから久しいが,その患者への対応となると従来の治療技法では効果が少なく,また古典的な精神医学の知識のみでは患者を理解できなくなっているのが実情である.
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