中小規模病院の運営
医療法改定と地域医療計画
深瀬 邦雄
1
Kunio FUKASE
1
1医療法人浩邦会日比谷病院
pp.84-87
発行日 1984年1月1日
Published Date 1984/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208227
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■国民皆保険と日本の医療
現在,日本は男女ともに世界の最長寿国となった.これは第二次大戦後日本の経済成長とともに食糧をはじめ生活環境が良くなったためもあるが,日本の医療の国民への健康改善に与えた影響も非常に大きい,また国民皆保険制度によって全国民が医療を受けやすくなったことも極めて重要な因子である.明治の初めから西欧より近代医学が急速に日本に取り入れられたが,日本は産業立国に追われ,医療にまで国家の経済を回す余裕がなく,民間の開業医及び私的病院が自由開業医制度のもとに自己資金により医療を作り上げてきたと言っても過言ではない.
日本の医療制度の特色は開業医及び私的中小病院が多いことである.外国においては国または宗教団体が公立の大病院を作り,そこで契約に基づいた医師が働いているのが大部分である,日本では第二次世界大戦後陸海軍病院が国立病院に転用されたのが大きな変化で,その後公立病院が各地に作られ今日に至っている.開業医,私的中小病院と公立大病院という地域医療における重複的構造は「いつ,どこでも,だれでも」と言われる便利な,かつ患者が自由に選択できる独特のものを作り上げてきた.一方,日本経済は高度成長から低成長時代となっているのに対し,医療費は急激な上昇を続け昭和57年には約13兆円に増大した.
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