在宅ケアへの模索
北里大学病院の在宅ケアの現状と今後の方向
武 和子
1
Kazuko TAKE
1
1北里大学病院保健相談室
pp.80-83
発行日 1984年1月1日
Published Date 1984/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208226
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昭和46年開院時,相模原地域における当院の医療として,入院患者の継続看護,外来患者に対する保健指導を行う構想のもとに,公衆衛生看護分野を担う保健婦が配置されたが,病院の組織の中で保健婦の役割は看護域のように明確には確立されていなかった.また患者の疾病構造は慢性疾患の増加傾向を示しているにもかかわらず,入院患者の在院日数は平均23〜25日と短い.ということは退院患者の中には問題を残したまま(疾病は改善しても生活自立ができない,あるいは病状固定)在宅療養を余儀なくされるケースも多いことを示している.一方外来通院中の患者の中にも通院ができず家族の代理受診であったり,または受診間隔が長くその間の在宅療養が良い状態で続けられないケースもあり,主治医もそのような患者の背景が把握できない等の理由から,病院の組織の中に在宅看護業務を行う職種の位置づけが必須と考えられた.そのため保健婦がこの役割を負うことになり,10年を経過した.今後人口の高齢化に伴い老人の慢性疾患患者が増加し,病院医療のあり方として在宅ケアの需要が高くなると思われる.現在行われている訪問看護の実際から今後に向けて期待したい事柄を述べてみたい.
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