講座 「修正病院会計準則」について・6
収益・費用計算の基本的考え方(つづき)
針谷 達志
1
Satoshi HARIGAI
1
1厚生省病院管理研究所
pp.798-799
発行日 1983年9月1日
Published Date 1983/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208113
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収益と費用の測定
前回,医業収益と医業費用の認識について述べた.今回のテーマに入るまえに,少し復習してみよう.
現在の会計は,医業収益や医業費用を現金主義ではなく,発生主義によって認識している.すなわち,医業収益や医業費用は,医業サービスを提供したときや,そのために労働力や材料などを消費したときに,その会計期間の発生収益,発生費用として認識され帳簿に計上される.これに対し,現金主義によれば,医業サービスの提供や労働力,材料などの消費の時点と関係なく,患者から現金を収納したり,業者や従業員に支払いをしたときに収益や費用を計上する.したがって,現金主義によれば,ある会計期間にどんなに忙しく活動しても,たまたま患者からの収入が一円もなく,また給料や材料費などの支払いもなかったとすれば,医業収益や医業費用は零として表示されることになる.明らかに,この方法によれば,その結果が,病院の当期の活動を適正に反映するものとは限らないことになる.
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