リハビリテーション院内から地域へ
疫学からみた地域リハビリテーションのニーズ
柴田 博
1
1東京都老人総合研究所
pp.686-689
発行日 1982年8月1日
Published Date 1982/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207804
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与えられたテーマはまことに今目的である.竹内ら1)によると,リハビリテーションは"人間の病気や障害によって破綻した生活を再建する医療"と定義される.とすれば,もはや,リハビリテーション(以下リハと略す)活動は,施設内では不十分であり,地域活動の必然性が増してくる.活動を展開するにはニーズを知らなければならない.しかし,これまで,疫学が主として追及してきた方向は,病気の危険因子を解明してそれを一次予防に役立てることであった.障害者の実態を知ることは,これまでの疫学の主流とはなっていない.個々の疾患の有病率や発生率を調査することは疫学の基本的な任務であるが,それが直接,リハのニーズを知ろうという視点から行われているとは限らない.したがって,筆者も,与えられたテーマに十分答える資料を提供できるわけではないことをまずお断わりしておく.
一方,障害者の実態を知るために疫学が果たすべき役割は,今後,増大していくであろう.本論は,今後の研究に向けての前提となる事柄を整理し,筆者なりの立脚点を探ることを目的としている.
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