海外見聞記
中国の医学教育,研究,医療の現状—北京市中心の医療視察・1
安達 勇
1
,
佐分利 輝彦
2
,
本間 三郎
3
1国立がんセンター内科
2病院管理研究所
3千葉大第二生理学
pp.354-358
発行日 1981年4月1日
Published Date 1981/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207452
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1978年に日中平和友好条約が締結されてから,両国の交流は年ごとに盛んになってきた.しかし,中国の医学教育,研究,医療の実態については,断片的にジャーナリズムを通して,針麻酔,はだしの医者など報道されてきたが,全体の実態についてはまだ知られていない部分が多い.また,新中国は1949年に建国され,30年とまだ若い国で,中ソ紛争,文化大革命と激しい変動期を経て,現在やっと工業技術を中心とした近代化路線を目指して,すさまじい勢いで変貌しようとしている.したがって,医学研究,医療技術面においても同様に,動揺期から整調期に入り,互いの技術交流はますます盛んになるであろう.
このたび,私たち一行は日中友好病院建設の下準備として,中国の医学教育,医療を視察する機会を与えられ,昨年3月北京を訪れ,北京市の重点医学校である北京医学院,北京中医学院,また病院として,中国医学科学院直属の各専門施設,すなわち,がん専門病院である日壇医院,心血管研究所の阜外医院,臨床医学研究所の首都医院,中医の薬物研究所とを見学してきた.医学教育,医療行政については衛生部の人たち,また医学校,研究所,病院では各施設の責任者から聞いた内容で,かなり正確なものを入手することができた.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.