小特集 クリニカル・ファーマシィの導入
カリフォルニア大学ロスアンジェルス校病院病棟薬局を見て
浅井 一太郎
1
1虎の門病院
pp.316-319
発行日 1980年4月1日
Published Date 1980/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207126
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総合病院の薬剤部の役割
病院,殊に近代総合病院での薬剤部の仕事がどうあるべきかについて,筆者は虎の門病院の開院以来長年にわたって,漠然とではあるが,これで良いのかという疑問を持ち続けてきた.と言ってもこれは決して薬剤部の人たちが自分たちの仕事を怠けていたということではない.あくまで総合病院における薬剤部のあり方がどうあるべきかということであって,虎の門病院の薬剤部は日本の病院の常識的な範囲の働きについては,かなりの,いやそれ以上の働きをしていたことを十分に評価しているつもりである.
こうした漠然たる疑問の上に立って,何年か前に,薬剤部で実際に仕事をしている薬剤師諸君がどのような考えを持っているかを知りたいと思い,次のような質問をしたことがある."薬剤師として,現在のように,終日薬局の中に閉じこもって,処方の調剤や注射薬の補給業務に専念しているのが本来の業務と考えるか,あるいは病棟に進出して投薬業務をも分担するのが正しい方向と考えるか"と.筆者は後者に賛成という答えが多いことを予期していたのであるが,集まった回答は予想に反して,"薬剤師は薬局内で仕事をするのが本来の姿と考える"というものが大部分であった.
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