研究と報告【投稿】
嫌気性菌を考慮した病院内空中細菌叢の観察
中島 敏子
1
,
二宮 照子
1
,
伊津野 保
2
1熊本大学養護教諭養成所
2熊本大学教育学部(基礎医科学)
pp.883-885
発行日 1979年10月1日
Published Date 1979/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207001
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病院管理の面で院内感染が重視されるようになってきたが1,2,3,4),病院の持つ特殊条件を含めて,院内感染の実態を把握するには,関連する多くの研究成果に待たなければならない.また,一般感染症についても抗生物質の普及などによってその様相が以前とは大分変わってきた.すなわち,感染の起因菌についても従来のいわゆる病原菌から,日和見感染を起こすいわゆる平素無害菌(Opportunistic Pathogen)などの役割が重視されるようになり,今日では院内感染の主流はこれによるものと見られている5).
人は誰でもここにいう平素無害菌の保菌者であり,またその菌は人体から常に周囲に飛散されているものと見なければならない.すなわち人のいる所必ずその環境は細菌的に汚染されているものである.感染症も内因性のものはさておき,外因性のものではその起因菌が空中由来のものであることもしばしばであろう.この点からして病院内の空中細菌叢については常に監視の必要があり,特に手術室や無菌治療室では無菌的最高の厳格さが要求され,ICU (集中強化治療室)や新産児室などもそれに次ぐ厳格な管理が要求されている.一方,院内感染の予防については病院をあげての対策が必要で,診療担当者,管理者を始めその他すべての病院関係者のそれに対する認識と努力にまつところが非常に大きい.
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