研究と報告【投稿】
病院における賃貸借・委託外注の実態—類型別規模別分析(1)
車田 松三郎
1
1東北大学病院管理学教室
pp.952-955
発行日 1978年11月1日
Published Date 1978/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206713
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病院の経営合理化は一夜にしてできるものではない.まず,何よりも合理化しやすい部分から手がけるべきであろう.病院での外注はこのような発想が基礎にあると考えられる.多くの病院の頭痛の種は,人件費の上昇であり,管理者はその対策に苦慮している.われわれはこれに対しても外注の利用による効果を期待している.人手不足の解消とともに人員の適正配置とその合理的運用に役立つと思うからである.つまり常規的な仕事で,たとえば院内の清掃などは必ずしも病院の職員でなくともできる部分である(請負).また日進月歩する医療機械も1,2年くらいで陳旧化するものもある.これを年契約による外注で考えると,多額の費用を一時に投下せずに,いつも最新式の医療機械を運用できるという利点がある(賃貸借).また病院の広いスペースの一角を売店や,理容室に用立てるなどをして,患者のサービスに役立てることもできる(委託).このような合理的運用こそ,今日,病院の近代化,合理化に欠かせないものとなってきているのではなかろうか.それにしても,やはり病院が外注を利用しやすいところに立地しているかどうかが問題となる.立地条件のよい病院はどんどん外注の考え方を導入して,経営を合理化することができるが,もし,立地条件が悪ければ,逆に,病院を中心として地域にサービスを強いられることにもなろう.この例は北海道の一部の病院にみられる.
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