院外活動日誌
訪問看護係一年生
大野 順子
1
1東京白十字病院訪問看護係
pp.760
発行日 1978年9月1日
Published Date 1978/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206649
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6月21日
今年は陽性の梅雨ということで,今日も雨が降らず暑い日が続いている.訪問看護係に転じて5日目.先輩のKさんは子供の発熱でおやすみ.出勤してまず留守番電話を聞く.朝早くかけたらしいSさん(88歳)の奥さんの声が流れる.「昨夜,おじいさんが食事のあと,食べたものをもどしました」.折返しこちらから電話をかけて様子を聞き,午後一番に訪問する.ベッド上で眠っているSさんの顔や胸,腕のあたりに汗がにじんでいる.奥さんの話では,嘔吐は一度だけで嘔気はないが,食欲もないし,大事をとってアイスクリームを食べさせただけですとのこと.
Sさんは49年1月85歳の時,脳卒中で倒れ,後遺症として左半身不全麻痺がある.発作後訓練で歩行可能となったが,52年に再発作を起した.現在は少しボケもあり,ギャッジベッド上で半坐位になれ,介助があれば椅子に移ることもできる.足を伸ばせばベッドの端から端まで届きそうな,体重も70kgを越すような体格のSさんを目と足の不自由な83歳の奥さんでは,椅子に移すことはできない.
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