最近の判例からみた医療事故・8
未熟児網膜症医療過誤事件と医師等の責任
稲垣 喬
1
1大阪法務局訟務部
pp.668-669
発行日 1978年8月1日
Published Date 1978/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206619
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判例
未熟児網膜症医療過誤訴訟に関しては,現在まで若干の裁判例を数え,未熟児に対する酸素療法等の実施について,その医療水準が,漸次法的な過失判断の基準として確認されつつあるが,酸素療法の実施に関する医師の判断と,眼底検査の実施による本症の発見とこれによる治療については,医師の研鑚義務の問題とも関連してとくに困難な問題が提供され,かつ解決されつつあるといえる.本件は,長崎市立市民病院における未熟児医療に関し,第一審の長崎地裁判決(昭39・3・25)が原告の請求を棄却したのを維持し,控訴を棄却した裁判例である(福岡高裁昭52・5・17判決,判例タイムズ353号182頁).漸新な裁判例として注目される.
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