ホスピタル・メモ 医学教育
家庭医教育と家庭医専門医制度—アメリカのFamily Medicine Training
編集室
pp.44
発行日 1978年1月1日
Published Date 1978/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206420
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アメリカにおける医学の専門分化は,新知識や診断技術などの発展をうながす一方,専門性に対する国民ニードとの間にアンバランスを生ぜしめる結果となった.たとえば循環器専門医は,国のニードとしては年間300人で間に合うのに現在は年に900名も養成している.この教育はたいへん金がかかる上に,その専門医が自分の力を振るおうとすると医療サービス・施設面でもたいへん金がかかる.しかも患者側からみると,自分の訴えをよく取り上げてくれる医者がいなくなってしまう.特定の家族は専門的な領域に答える何人かの医師をもつことになる,ある一家庭でみると,子供は小児科医に,母親は産婦人科医に,父は内科医に,その他外科,耳鼻科,精神科etc.医療は拡散し,非協力となり,成人病予防などの幾多の重要なサービスはすべて忘れられてきている.
専門医が訓練され,適切な医療を行うには設備のいい病院を必要とし,この施設がまた非常にたくさんの人を基盤にしないと成り立たない.専門医は専ら大都市の高度病院に集まるため,遠隔地や小都市では医師不足で医療が受けられない状況になった.これらの市民は為政者に苦情を呈し,GPに替わるもの,家庭医養成に対して融資を始めた.これらの影響は大都市の市民にまで拡がり,一組の専門医の医療を受けることの不便さとぼう大な経費についての世論が喚起された.
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