発言あり
家庭医制度
pp.213-215
発行日 1985年4月15日
Published Date 1985/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207023
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家庭医制度は急がずに
「家庭医」が「制度」としてクローズアップされてきたのは,厚生省が60年度予算要求の中へ「家庭医制度」の検討費用を盛り込んだためであろう.「家庭医」が従来存在しなかったわけではない.それどころか開業医のほとんどが優れた家庭医として,地域の厚い信頼を得ながら日夜医業にいそしんでおられる.ただそれが専門診療科として認められた「制度」とはなっていなかったわけで,いわば日陰の存在であった「家庭医」に光を当てようということであれば,これは誰しもが大賛成のことであろうと思われる.ところが,当の優秀な家庭医として活躍する開業医を最大の組織基盤とする日本医師会が,厚生省の方針に強い警戒を表明して,これにブレーキをかけることで意見の一致をみたという(目本医事新報No. 3150).
日医が「家庭医の検討そのものの必要性は認め」「家庭医の概念についても基本的には異論はないが,その運用・制度化にあたっての"危険性"にあらかじめ懸念を示した」としても不思議はなく,むしろ当然のことのようにも思える.予防活動を医療保険のなかで認めた点において画期的と評価される老人保健法においても,医療費抑制の視点から出発しているがための様々な制約があり,不十分なものといえる.今の時期に突然に「家庭医制度」創設を唱える裏に医療費削減の意図を読み取るとしても理不尽とは言えないであろう.そうであれば日医が慎重な検討を要求するのも理解できるのである.
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