医療への提言・3
コンセンサスへの回路
水野 肇
pp.72-75
発行日 1976年9月1日
Published Date 1976/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206021
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医療問題を語る意味
医療問題というのは,この10年間,たえずどこかで議論され,医療関係者も国民も,今のままでいいと思っている人は1人もいない.そして「抜本改正」ということが何度も繰り返されては消えていく.すべての人といっては言い過ぎかも知れないが,少なくとも医療に関心のある人々の間では,それぞれの立場で,こう改革すべきだと思い,あるいは書いたり発表したりしているが,いまでは,心底から改革できると信じている人は恐らくいないのではないかとさえ思われるくらい,抜本改正というのは遠のいていく感じである.
それでいて「なぜ抜本改正ができないか」ということについて,真剣に考えている人は案外少ないようである.なかには,医療問題とは,本来このような性格を持っているものだろうと思っている人が少なくない.特に医療問題の渦中にいる人(医療に従事しているという意味ではない)には,そのような考え方をしている人が多いように見受けられる.たとえば,政治家とか,官僚とか,学者とかいった人々の中で,医療行政にタッチし,問題のありかを知っているとみられる人ほど多いようである.
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