ホスピタル・トピックス 建築
病棟の居住性とICU
伊藤 誠
pp.69
発行日 1976年4月1日
Published Date 1976/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205883
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最近のアメリカの病院を見て気付くことは,病室の小割り化傾向であろう.たとえば,図1はソルトレーク(ユタ州)にあるセントマーク病院の病棟の一部であるが,ここでは病室が2床室1室を除いてすべて佃室で構成されている.そして全室が便所・シャワー付きである.この病院は特に富裕階級だけを対象にした特殊病院だというわけではなく,ごく普通の地域病院なのである.院長の説明では,相部屋の場合に必要な患者の年齢・性別に対する配慮がいらないからベッドの回転率が高くなり,経常上はかえって有利なのだという.
その点は別にしても,療養生活における居住性という面で,個室の方が相部屋より好ましいことは言うまでもない.話し相手がほしくなったらロビーに出ればよいのである.各室のドアは看護婦の都合で開け放しておくこともあるが,必要に応じ患者の側から寝たまま閉めることもできる.そのためのリモートスイッチが各ベッドわきに組み込まれている.
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