病院私論・5
地域医療計画(1)—その日本的土壤
守屋 博
pp.53
発行日 1975年5月1日
Published Date 1975/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205621
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担い手は住民か行政か
地域医療計画も計画であるかぎり,計画・実行する責任者がいるわけだ.アメリカの地域計画は,すべて住民のコンセンサスの形で自主的にやっているが,日本では住民の意志をひとつにまとめるということが不慣れなため,医療に限らず学校計画や交通計画にしても行政がやることになる.行政が主導権をにぎる場合と住民がやる場合とでは,できあがるものが非常に違う.地域住民はなんでも役人に責任をかぶせておいて,揚げ足をとるというパターンになる.日本には地域全体のパワーが実って医療施設ができていくパターンはないわけだ.
そこで,わが国の地域医療計画だが,昭和30年頃から医療機関の適正配置の第一歩ということで,県単位での現状の把握は行われてきた.それに過疎地域の実態把握が加わっているが,全体的にみて現状把握の段階から出ていない.
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