特集 病院の特殊性と労基法
病院における安全衛生
落合 勝一郎
1
1聖路加国際病院事務部
pp.37-41
発行日 1973年4月1日
Published Date 1973/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204960
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●衛生管理の推移
従来わが国に定着してきた衛生管理の概念は,企業の生産性向上,労働力確保,稼動率防衛への傾斜が顕著であった.すなわち従業員の疾病管理,およびその予防管理によって,従業員の稼動率を高め,定着性の低下による労働力不足を積極的に補足して生産性向上に直結させることに集約され,したがって,作業環境の改善の面においてはいささか人間性を忘却したかのごとき感なきにしもあらずであった.
第2次大戦が終わって,現行労働基準法に基づく安全衛生規則が制定され,労働者保護の立場がとられるに至ったが,使用者側の衛生管理を生産性向上へ直結する姿勢は,さして変化がみられなかった.実際に,事業所衛生管理者の報告の中には,疾病休業率を1%減じ得たというごとき稼動率に関するものが多く散見できたのである.また衛生管理の技術面においても,職業病,あるいは,一般産業における業務上傷害など,休業率に関する報告が大きくとりざたされている.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.