今日の精神医療・3
精神医療における技術とは何か
川上 武
1
,
金子 嗣郎
2
1杉並組合病院
2松沢病院
pp.106-113
発行日 1973年3月1日
Published Date 1973/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204949
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金子 このところ精神病院の不祥事がいろいろ問題にされています.その背景は,向精神薬が昭和30年ごろからはいってきて,精神医療が明るくなったという見方がある.ところが,それに乗って気楽に精神病院がどんどんできてきて,病床数もだいたいピークにさしかかってきて,来年度から措置入院の予算要求を厚生省がいままでより100人ばかり減らすんですね.それは実際に措置の患者がそれだけいなくなってきたということもあるでしょうけれども,現象としては,戦後の精神医療のターニング・ポイントみたいになってきているということがあると思います.
結局内部的にいろいろな不祥事が起こって,それに対する批判が出てきた.一方では,精神病院に入院させるのは罪悪だという極論まで出てきていますね.そのへんは,もう一度精神科の医者なり,看護婦なり,いろいろな新しい職員たちの仕事の内容をきちんと整理をして,いったい精神医療における技術とは何かを考え直していかなければならない.そういうことで,今日は川上先生にいろいろおうかがいしたいわけです.
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