精神医療の管理・11
精神病院における精神科医のリーダーシップ
猪瀬 正
1
1横浜市立大学・精神医学
pp.57-59
発行日 1972年11月1日
Published Date 1972/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204830
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まえおき
表題のようなことを書くのに適当な方は,ほかにたくさんおられるはずだし,私は具体的にそのようなことを考えたり,研究したことはないので,本稿では私の望んでいる精神科医像を書くことで許していただきたい.
精神病院で,精神科医が果たさねばならない役割は非常に多岐であると同時に,病院の規模によっても,そのあり方はさまざまであることは論をまたない.精神病院が精神医療の1つの中心であることは今日においても変わりはない.そして,その病院がどのような性格を持つか,医療内容がどうかは,なによりも院長の考え方とその識見,そして指導力にまつものである.病院における精神科医のリーダーシップの第1は,院長職にあることはいうまでもない.どのようにりっぱな建物があっても,どれほど多くの職員がいても,いっこうに活気の出ない病院もある.それに反して,貧弱な設備と人手不足の状況でありながら,活気と治療雰囲気にあふれている病院もある.このような病院のあり方を決定する要因の最大のものは,院長の人格であるというべきである.
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