精神医療の管理・5
精神病院の老人—老人病棟の経験から
鈴木 喬
1
,
村田 明
2
1茨城県立友部病院
2茨城県立友部病院老人病棟
pp.103-107
発行日 1972年5月1日
Published Date 1972/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204666
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平均寿命の延長に伴う老年人口の増加や社会の変容,特に生活様式の都市化,核家族化の傾向は,老人をめぐる多くの問題を提起している.とりわけ複雑な諸面をもつ精神科医療での老人対策は,その数の増加とあいまって近来わが国でも大いに注目されており,各施設で老人病棟が開設運営されている.
いささか古い資料ではあるが最も確実な全国統計によると,表1のように精神病有病率は精神分裂病,躁うつ病,てんかんなどについては昭和29年と昭和38年とでほとんど変わっていないのに対して,脳器質性精神障害についてはその10年間に2倍に増加している.そしてその約半数が脳血管性(脳溢血など)によるものとされている.これは人口の老年化や交通事故など世相の変化の影響によるものと考えられ,この傾向は最近の10年,あるいは今後とも続くものとみられ,精神衛生上の関心をひいている.
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