これからの医療と医療制度・4
老人病院
寺崎 仁
1
1日本大学医学部医療管理学
pp.855
発行日 1994年4月10日
Published Date 1994/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902716
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「老人病院」なる言葉を聞くと,何かしらネガティブなイメージを持つ読者が多いのではないかと思うが,実は病院経営が非常に厳しい状況の中で,ひとり「老人病院」だけは経営が比較的安定し元気が良いといわれている.もちろん,20年近くも前に社会問題化した「悪徳病院」が根絶されたわけではないが,従来から真面目に老人医療に取り組んできた施設を含め,制度的にもまた社会的にも日陰者扱いだった「老人病院」が,やっと日の目を見るようになった感がある.
ところで「老人病院」が,医療制度の中で“公認”されたのはそう古い話ではない.何十年も前から,老人の患者だけを入院させていた病院はあったのだが,昭和57年に制定された老人保健法により,70歳以上の高齢者の医療は新たに定められた老人診療報酬体系で扱われることになり,その中で「老人病院」の位置づけが初めて明確にされた.当初,老人病院には「特例許可」と「特例許可外」とがあり,入院患者の一定割合以上が老人で,定められた看護や介護要員の基準を満たしていれば「特例許可」,そうでなければ「特例許可外」とされた.
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