病院のひろば
これからの病院と開業医の関係
新美 毅
pp.99
発行日 1972年3月1日
Published Date 1972/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204611
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病院と開業医は,デパートと小売店とであってはならない
医学教育の問題,医学的格差の問題,医療制度の問題など,幾多の難問を抱えている今日であるが,訪れて来る多くの病人たちによりよい医療をとだれもが考えている.しかしながら根本的解決策のないまま,時の流れとともに,自らの情熱がマンネリ化するのを怖れなければならない.医師も一般国民もすべての患者によい医療を……と考えているのは同じである.よい医療が大きい建物とはかぎらないが,高度の特殊機能を有する医療が個人開業医では不可能であることも事実であるが,医学的特殊機能を必要とする症例は全患者の1割にも満たない数である.官公立の病院ができる,その他一般病院ができる,これに対して開業医は利害の対立から反対ののろしをあげて闘うありさまは,保険制度の堕落とともに医師の社会的信用に疑問を投げかけた大きな原因と思われる.
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