研究と報告【投稿】
診療施設における麻薬事犯について
寺畑 喜朔
1,2
1国立金沢病院研究検査科
2金沢大学医学部法医学
pp.101-104
発行日 1971年1月1日
Published Date 1971/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204221
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はじめに
診療施設に対して,麻薬の施用状況・保管管理などにつき立ち入り検査が実施されると,高い頻度で違反内容が指摘される.わが国における過去数年間の立ち入り検査と違反診療施設の実態は,表1に示したように,年々増加の傾向にあり,しかも,絶対数の少ない麻薬取締官・取締員によって検査されていることを考えれば,潜在実数ははなはだ多いと推知する必要がある.
この根源は,医療従事者があまりにも手近かに麻薬を所有し,安易は取り扱っているからであって,特に麻薬施用にあたって,医師の態度はどうであるかとなると,よほどの関心がないかぎり,免許取得にはじまり,譲受・譲渡・施用・保管・記録・報告・中毒者診断届・廃棄・事故などの一連の留意事項について知らないのが現状である.ことに大病院の医師にそれが目だつ.すなわち,医師であるから当然として,麻薬に関する法律とそれに基づく注意義務の認識欠如のまま,所定の手続きさえすませば,施用者免許が交付されているところに麻薬取り扱い上の各様の粗漏が発生する.
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