特集 一般病院におけるリハビリテーション部門
中央機能部門としてのリハビリテーション
上田 敏
1
1東京大学付属病院リハビリテーション部
pp.19-22
発行日 1970年7月1日
Published Date 1970/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204005
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
はじめに——地域医療としてのリハビリテーション
あらためて言うまでもないが,リハビリテーションとは‘再び適したものとする(To make fit again)’ことを意味しており,もともと‘(不当に剥奪された)資格・権利を回復すること’の意味で広く川いられてきたことばである.医学の世界で用いられるようになったのは比較的近年であるが,そこでも単に手足の運動機能障害の治療・回復ということだけではなく(もちろんそれも重要だが),より広く,障害者をその人間全体としてとらえ,そのもてる心身両面の能力をできるかぎり十分に発揮させることが目標である.いいかえれば,それは障害者の‘全人間的復権’を目ざすものなのである.
このような意味でのリハビリテーションをそのプロセスで考えてみると,自明のことながら,それはまず医療の場で始まるが,多くの場合,医療だけでは問題は解決されず,その後にひきつづいて,教育・職業(訓練や就職斡旋・保護雇用など),その他種々の社会的な面でのサービスを必要とするであろうことがわかる(図1).このような複雑さが,これまでかえって,リハビリテーションを社会福祉と同一視して,通常の医療の世界からはみ出したもののように考える見方を強めたり,一転して逆に医学的リハビリテーションの重要性を説く人びとの中には社会的な面への留意が足りないことがまれでないということの原因にもなってきたように思われる.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.