特集 病院とコンピュータ
診療報酬請求とコンピュータ
中森 寛二
1
1横浜市大・数学
pp.45-49
発行日 1970年5月1日
Published Date 1970/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203953
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請求事務を取り巻く環境の変化
医療保険制度の普及と拡充に伴い,すべての国民が,もれなく,いずれかの制度に加入することになった結果,国民の保険医療に対する需要は質・量ともに急激に増大した.もっともこれには,国民の健康に対する関心が高まってきたことも1つの重要な要因として指摘できよう.いずれにせよ,このことは医療行為に対する診療費の請求速度の低下,診療報酬請求事務の大型化・複雑化を招いたが,結果的にみてそれは医療機関に過大な労力を強制し,ために正常な医事課業務遂行の障害となってきていることは事実である.
問題の一端は,患者数の伸びが事務職員数の増加に比べて格段に大きいこと,病院に投入できる事務職員数は,現存するいろいろな制約のため,将来においても大幅増加が期待できないことである.請求事務は医事課業務の50%を占め,最大の労力を必要とする.もちろん多くの改善努力の跡はいたるところに見られ,それはそれなりに効果をあげているようであるが,やはり限度があり,超勤やパートタイマーで切り抜けている病院も多い.しかし,解決策が人海戦術の延長線上にないことは,だれの目にも明らかであろう.人海戦術を援用することは将来の事務コストの高騰を招くだけであり,労働力不足がもたらす雇用難とあいまって,問題を慢性化させ,悪化させるだけである.
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