特集 物の搬送
病院における物の運搬
石原 信吾
1
1虎の門病院事務部
pp.19-21
発行日 1968年11月1日
Published Date 1968/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203485
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はじめに
移動と運搬とは違う。同じくA点からB点へ物の位置を移すことであっても,移動のほうは場合によればそれ自体目的となりうるものであるが,運搬はあくまでも手段としてしか考えられないものである。また,移動は‘1回終結性’が強いが,運搬のほうは‘くり返し性’がつよい。そうなると,そういう運搬という問題を考える場合,その主要テーマが合理性および能率性の問題に集中するのは当然であろう。もし,ある目的のためにくり返し行なわれる運搬という作業に不能率な点があれば,それは全体としての業務の運営上に大いに影響することになるからである。
病院の業務全体について考える場合にも,そこに運搬という作業をなしにすますということは,どうしてもありえない。ありえないどころか,それは相当大きな比重をもつ。運ばれる物の種類は多種多様であり,その動線はまた縦横に入り組む。したがって,病院管理上,この問題はひとつの重要なテーマとなるべきはずのものであるのに,なぜか従来はあまり大きく取りあげられることがなかった。いわばそこでのひとつの盲点であったのである。盲点であれば,それはいつかは取り除かなければならない。それがこの問題を今月号の特集にした理由である。以下,序説的にこの問題をながめてみよう。
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