特集 世界の病院
シカゴの7日間—第15回国際病院大会印象記
紀伊国 献三
1
1厚生省病院管理研究所
pp.72-75
発行日 1968年1月1日
Published Date 1968/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203271
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
病院医療のメッカ,シカゴ
アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ市。この地名は聞く人によりさまざまな意味をもって受けとられる。ある人はアル・カポネを連想し,ギャングの街,悪名高き街を思いうかべよう。また世界一の規模をほこった屠殺場のイメージもあろう。風の街(ウインディシディ)と呼ばれるように気候の急変の多い何かガサガサした大都会の感じもあろう。しかしこの街がアメリカの医療面で,特に病院医療にかんする面でメッカともいえる中心であることは意外に知られていないのではないか。
ここにはアメリカ病院協会の本部がモダンな12層の威容をミシガン湖畔にほこり,そこから歩いてすぐの範囲内に,世界一の圧力団体(?)アメリカ医師会本部,病院標準化運動の本拠地アメリカ外科学会本部,病院管理者学会本部,アメリカの医療保険中最大の規模のブルークロス本部が並んでおり,5つの病院,リハビリテーションセンターなどからなるノースウェスタンメディカルセンターも目と鼻の先にある。その他シカゴ大学,イリノイ大学を中心に超一級の病院群により構成されるメディカルセンターもある街である。加えて病院管理に関係するものにとって忘れることのできないことは,あの病院管理のバイブルといわれる大著「病院の組織と管理」の著者であり,専門病院管理者養成の推進者であった,病院管理の父マルコム・マッケクレン博士が日本訪問の直前急逝されるまで長く居住され,大きな足跡をのこした街なのである。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.