特集 東南アジア諸国の医療事情
アジアの病院に学ぶ—フィリピンとネパール
佐藤 智
1
1日本キリスト教海外医療協力会
pp.40-45
発行日 1967年1月1日
Published Date 1967/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203015
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はじめに
ある機関紙にわたしは「日本に病院はない」という一文をよせ,幾つかの批判をうけたことがある。無論,日本に7,000近い病院のあることは知っているが,その経営は,いわば消防署にたとえれば,火を消しに行った家から代金をもらい,それらをかき集めて運営しているようなもので,根本的におかしい。少し極端な表現であるが「日本には,本当の意味でコミュニティーに支えられた非収益事業の病院はない」といえる。
欧米では逆に,ほとんど大部分の病院は非収益事業としてやっている。ところが,驚いたことに後進国といわれる国の中でも大部分の病院は非収益である。
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