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—日野原重明編集—「慢性疾患の新しい理解とリハビリテーション看護」
大塚 寛子
1
1東大分院内科
pp.92
発行日 1966年12月1日
Published Date 1966/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203005
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具体的で実際的な治療と看護
リハビリテーションという言葉は近年いろいろの分野で使われ,医療者間でも関心を示されてきたが,実際にはその実施は個人の関心と工夫にまかされてきたのが現状であった。慢性疾患が社会的な問題としても関心をもたれている今日,当然リハビリテーションという広い概念に基づいた医療が行なわれるべきであるにもかかわらず,組織的にも,学問的にも系統だった指針が示されていなかった。このような時に,本書のように慢性疾患の問題を実際的にとりあげ,医療に携わるもの特に患者と最も接することの多い看護婦,保健婦のために役立つ本が書かれたことは,このうえなく有意義なことである。
本書は基本的なリハビリテーションの概念について,また慢性疾患に必ず伴う心理的な問題も含め紹介されている。つづいて一番リハビリテーションの切実な要求をもつ,運動神経系の疾患および呼吸・循環器系の疾患について,病因,病態生理が理解しやすく書かれ,ついで具体的にリハビリテーションの見地からの治療と看護について書かれている。内容はきわめて実際的で図解もはいっているところから,ナースのみでなく,リハビリテーションの見地から医師に役立つことも非常に多いと考える。
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