特集 病棟の看護設備
病棟内の輸送設備
島内 武文
1
1東北大学・病院管理学
pp.32-42
発行日 1966年4月1日
Published Date 1966/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202826
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1.病棟内輸送への要請
世の中の事柄には時間と空間の両要素が関係していて,何か活動をするには人や物を動かしたり運んだりする仕事,すなわち輸送ということが伴うことが多い。しかし,輸送ということは通常,目的ではなく手段にすぎないので,結果として同じ状態に達するならば輸送はなるべく少ないことが望ましいのであって,何らかの工夫によって輸送がなくてすめば一層よいわけである。
病院においては,患者の日常の生活が営まれた上に,これを診療看護する必要上から,患者自身を始めとして,衣食や診療看護に関する諸器材が多量に輸送されなければならない。そして医療の複雑な性格からいってその極類もはなはだ多様である。とくに患者の大部分が運動を制限されていることから,患者自身の輸送がしばしば必要であり,また衣服・食料・薬品などが患者の枕もとまで運ばれなければならないことも,病院ことに病棟において輸送の多い要因である。このように多種多様の輸送・運搬が必要であるばかりでなく,病院での輸送には次のような要請がある。
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