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編集主幹ノート
吉田 幸雄
pp.100
発行日 1966年3月1日
Published Date 1966/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202816
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- 文献概要
本号は結核医療を特集しました。結核患者はこの数年急激な減少を見ています。そのために結核医療に関係する各方面に急激な動揺を与えています。まず最初に現われた現象は一般病院の結核病棟が一般病棟に転換を始めました。つづいて中小の私的の結核病院が他科への転換を急ぎました。遅れたものの中には,不幸に閉鎖を余儀なくしたものもあります。社会の福祉施設であった結核療養所も次第に閉鎖されて行きつつあります。中でも結核病床を最も多く全国的にかかえている国立療養所は,一時は結核検診の強化によって老人結核などを吸収して一息ついたこともありますが,それも結核患者の発生が急激に減少した状態ではこたえることができないようになり,その立地条件の不利のために,急速に収容患者が誠少し,職員の減員を毎年余儀なくし,今や一部の療養所は転換をせまられています。
このような医療機関の大変化は,高所から見るならば喜ぶべき現象ですが,その変化を直接にうけている多くのものにとっては大きな社会問題としてとり上ぐべき問題であると思います。本号を特集した意義はここにあります。かくのごときいわゆる退却時のもろもろの現象にいかに対処するかは,直接に術に当るものには重大な課題でありますが,結核以外の疾病についても同様なことがいつ繰りかえされるかわかりません。病院人のすべての関心事でなければならないと思います。
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