ホスピタルトピックス 建築設備
宗教病院のあり方について
伊藤 誠
1
1千葉大学工学部
pp.91-92
発行日 1966年2月1日
Published Date 1966/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202793
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奈良県の天理市に建設中であった「天理教よろず相談所」がいよいよ竣工した。といっても,一般にはぴんとこないであろう。普通にいえば天理教教会本部の病院である。それも,近代病院が具備すべきあらゆる高度な施設をもち,しかも総ベッド数1,000というわが国屈指の大総合病院である。驚くべき規模や内容のいくつかを拾ってみると,診療科目12,総面積31,819m2(9625坪),地下1階・地上8階,全館エアコンディショニング,エスカレーター上下各1基,エレベーター8台を備え,配膳用のリフトだけでも6台ある。診療関係の施設をみると,放射線部門では撮影・透視のためのへやが約50mの長さにつらなり,照射治療施設もコバルト60のほかにベータートロンとリニアアクセレレーターをいれることになっている。10台の手術台をもつ手術室へは,中央材料室から滅菌された器材がベルトコンベアにのって流れてくる。研究部門には電子顕微鏡もあるし,水治療・電気治療室を含むリハビリテーション部門も無論完備している。
病棟には,一般ベッドのほかに精神科の看護単位もあり,重症病室には最近話題のエロクトロナースも採用されている。一部の病室に備えられた床頭セット(一般照明・読書灯・診察灯・ナースコール・酸素・吸引・氷のうかけ等をひとつのセットに組みこんだもの)はアメリカ製の精巧なものでアメリカの病院でもそうざらには見うけられないといった高級な設備である。
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