病院の広場
診療管理への提案
小原 辰三
1
1国立東京第一病院
pp.13
発行日 1965年7月1日
Published Date 1965/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202608
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病院管理は,病院の各分野において業務の分析,業務量の検討など,経営の面では相当に突っ込んだ研究が行なわれて,日本の病院もしだいに面目を一新しつつあることは慶賀に堪えない。ここにただ一つとり残されているのは,医師の診療の面である。病院の唯一の収入源である医療収入をあげて,経営内容の充実をはかり,診療内容を充実させたいと念願するのは,院長,事務長ばかりではない。最近は,企業会計を病院にとり入れることのあおりをくって,人件費のもっとも多額を占める医師の数を最小限にとどめようとする傾向もみられる。
この問題の底には,現在の健康保険による診療費の低さということが大きな障害となっている。医師が良心的に診療するには,十分な時間をかけて患者を診察し,適当な検査を行なって適確な診断を下し,適切な治療を行なうことであり,その経過を患者によく説明して納得させることである。
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