特集 病院給食管理の諸問題
病院栄養士の声
医師に対する提案
寺沢 貞子
1
1世田谷区立大蔵病院
pp.29
発行日 1962年9月1日
Published Date 1962/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201970
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医師が栄養士に対して提案,要望せられることは非常に多々あろうと思われる。しかし立場をかえ,本題の原稿を依頼されて,ちょっと躊躇いたしますが,私がまず申し上げたいのは,「食べる」ということは「人間の根本の生理」であるということについて改めて深く考えていただきたいことである。患者に適切な食物を給与し,体力を充足,補強することは,治療上極めて重要な業務であり,ことに「食餌療法」の必要な病種にあっては,その重要さは申すまでもないことである。給食に関して基準病院に必ず栄養士が配置されているが,その実態ならびにあり方はどうであろうか?
栄養部の組織図は普通事務系統に属し,その代表者は事務官が多い。栄養士はおおむね地位を持たず,責任のみは重く,極めて小人数で,本質的な仕事の進歩性は阻まれがちで,雑用の中できりきり舞いをしている。これは患者給食があまり重んじられなかった旧時代のまかない式炊事の系列,観念で近代病院の中に今も温存されている機構である。
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