特集 本誌発刊15周年記念
病院関係諸法規の制定当時の事情
医師法
尾村 偉久
1,2
1国立世田谷病院
2前公衆衛生局
pp.61-65
発行日 1964年6月1日
Published Date 1964/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202367
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終戦後生れ替った日本として新憲法が制定され,これに伴ってその趣旨に沿って多くの法律が新たに制定をみたのであるが,現行の医師法も同様にして医療法をはじめとする二十数件の他の厚生法規とともに昭和23年に制定公布をみて既に16年を経てきた。丁度同時期に新発足をみたわが国病院管理の諸事業や,また雑誌「病院」の歴史とも歩みを共にしてきたわけである。その間,幾つかの小改正は行なわれたのであるが,戦後のわが国社会の大きな変動と発展に伴って現在医師法の規制を巡ってかなり根本に触れるような議論が沸騰してきていて,ものによっては政治問題に発展しているものさえある。即ちインターン問題などはその筆頭のものであろう。その他専門医制度の問題や,医薬分業.医師会,医師の倫理等五指に余る問題が喧しくなってきている。かかる事情は医師法と唇歯の関係にある医療法,或は保健婦助産婦看護婦法等についても同様であって,関係団体によって切迫した要望や批判が行なわれている病院の職員定員の規制や,保,助,看婦の教育,資格の改変等の問題がそれである。そこで終戦後現行医師法が制定された当時のことを振り返えり,併せてわが国の医師法が明治以来発展してきた概要と比較してみることは,今後の進展の為にも無駄ではないと考えるので,主要な点について記憶を辿って回顧してみたい。
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