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Method Improvement (作業改善)—海外旅行から得たもの
倉田 正一
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1慶応義塾大学医学部病院管理学教室
pp.39-43
発行日 1964年1月1日
Published Date 1964/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202273
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1.まえがき
最近の海外旅行熱はすさまじいばかりで,アメリカでもヨーロッパでもまず旅行中日本人の顔をみないことはなく,道で顔を合わせても銀座で顔を合わせたほどの感慨もないようである。なかには善男善女の講中旅行よろしく観光バスに乗込んで,日本語の案内放送に耳をかたむけ,帰国の日まで終に外国語は口にしなかったという人もあるとか。これら多くの人々が何等かの収穫を持って帰国され,各分野で「見聞記」いや「見記」をのべられる。出版物の盛んな流入が拍車をかけて,われわれは居ながらにして諸国の事情を或程度理解することができる。場合によっては,ある国の事情をその国の人より早く,過大に知らされることすらある。筆者が学校から8カ月の欧米視察の命令をうけたのはこのような時であった。母校の病院管理学教室新設準備の一段階でもあったのである。勿論今回の旅行は医療施設を中心とする視察ではあったが,公衆衛生学教室時代から手がけてきた人間工学に関する諸国の学者の訪問も楽しい目的の一つであった。そして厳冬のヨーロッパ滞在を終って帰国したのは春3月の事である。ここに,「新しい病院の誕生を望む」というテーマを頂いたのであるが,筆者には,そしてわずか8カ月の旅行ではとてもこなせる問題ではない。
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