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事務長日記
檜原 謙
pp.88-90
発行日 1963年11月1日
Published Date 1963/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202243
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9月2日(月)
9月の声を聞くと,さすがに強い日射の中にも何となく秋の気配を感ずる。法師蝉がしきりに鳴いて,夏の終わりを告げるようだ。
今日から,増収対策の一環として,上級病室の差額を若干値上げし同時に,2床室の窓際ベッドにはさらに1日200円だけ差額を多くすることになった。部屋に差額をつけるだけでなく,ベッドの位置にまで差額をつけるということには異論もあり,また,いかにも苦肉の策めいた感じを与えるかもしれないが,位置によって環境条件が違う以上,それは当然だとも言える。国鉄が寝台料金に上段,中段,下段の差をつけているのはその好例だ。あらかじめ,上級病室には差額値上げの通告を廻わしておいたのに,今までのところ特別苦情は出ていないという。とくに,2床室の窓際ベッドにいる人からは,「今まではドア側の人に気がねだったのに,料金の差ができて気が楽になった」という声すら出ているという。上級病室に入るほどの人には,今回の値上げ額ぐらいは問題ではないのかもしれない。あるいは他の諸物価の動向から見て,それは当然だという理解もあるのだろう。午後,用度課職員との懇談会。これは7月下旬以来,チーフ抜きで各課職員と順ぐりに行なってきたものだが,今日は全員が筆記用具持参でなかなか旺んな意気込みと見えた。
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