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事務長日記
檜原 謙
pp.87-89
発行日 1963年8月1日
Published Date 1963/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202183
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6月1日(土)
午前9時から全職員を集めて講堂で新院長の挨拶がある。皆がユニホームで整列しているからということで,白衣をつけていただくことにする。ところが,ハウスキーパーが間違えて女性用を持ってきたのを気がつかなかったために,どうしてもボタンがはめられない。前院長の紹介で壇上に立ってからはじめて女性用とわかり,院長も職員達も笑い出してしまった。期せずしてなごやかな雰囲気が生み出されたのはまさに怪我の功名だ。
新院長は「医師の研究促進の必要性」を説き,こうした近代病院からこそ「臨床医学の輝かしい進歩と成果」が期待される旨を強調して,その卓越せる信念と抱負を約15分にわたり力強く開陳,一同に多大の感銘を与えたが,ただ,一般職員に対する話しかけが若干不足した感は免れなかった。しかし,これは就任早々の院長にそこまで求めるほうが無理で,聰明なる新院長に対しては,そのことで別段何も案ずることはないのであろう。
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