特集 人間関係
研究
病院における人間関係
院長
横山 定雄
1
1国立精神衛生研究所社会精神衛生部
pp.29-34
発行日 1962年8月1日
Published Date 1962/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201958
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1.病院組織における院長
病院という組織体は,従業員数からいえば決して大企業とはいえない。だが,そこに見られる人間関係構造は,次に述べるように普通の企業体に比べて,非常に複雑であり,管理者である院長の機能や役割(人間と組織の管理を中心に考えて)は,まことに複雑でむつかしいものがある。わたくしはこの数年間,幾つかの病院や療養所の人間関係の調査や研究に手をつけて,つくづくとそれ(病院の人間関係と管理者のあり方の複雑さとむつかしさ)を考えさせられている。
ところで,最近になって病院管理の中で「人間関係」を重視する必要性が主張されるようになってきた。これは,最近の病院ストライキや看護婦問題がきっかけになっているとしても,それ以上に,病院関係者も,そこに参加し労働する「人間」の存在にやっと気がついたということであろう。それでは,現実に実際に,院長はどのような人間関係の中にあり,院長はそれをどのように受けとめているか,院長の管理者ぶりはどのようなものであるかなどについて,最近われわれの研究グループ(厚生科学研究による—班長吉田幸雄)が,「質問紙法」によって調査(36年度に病院管理研究所へ研修に参加した各種研修生を対象とする)した資料から,その一端を探り出してみようと思う。(なおこの研究班ではこの調査資料のほかに,某国立病院における「従業員面接研究」もあるが,これは後日に発表することになっている。)
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