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院長日記
鈴木 憲輔
1
1八千代中央病院
pp.73
発行日 1974年8月1日
Published Date 1974/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205418
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看護婦不足は「作られた不足」
今看護婦不足に悩んでいない病院といえば,都心の繁華街の2,3の有名病院くらいなものであろう.他のほとんどすべての病院の院長,事務長,婦長らは看護婦不足のために,日夜悩みに悩み続けているというのが現状ではあるまいか.私どもとても,ただ食ってゆくこと,優雅な生活を送ることだけが人生の目的ならば,何もこんなことで苦労する必要はない.だが地域住民に対する病院としての社会的な責任を考えると,看護婦不足はまったくどうにもならない問題として,私どもの上にのしかかってくるのである.看護婦不足問題こそは,今や地域医療の死活にかかわる最重点課題といってもけっして過言ではない.
ところがこの深刻な看護婦不足にもかかわらず,看護婦志願者は不足どころか,その反対であるというのだから不思議というより他はない.厚生省の調べによれば,看護婦の志願者は全国で46,700人余で,看護婦学校採用人員の3ないし5倍あるというのであるから,文字通り呆れてものが言えない.まさに去年の暮の石油危機以上に不可解な「作られた不足」である.
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